教組の花嫁
「いいえ、部屋に入ったのを見ただけです」
ほのかは道心の予期せぬ反応に面食らった。
「やめないか。君ら二人に言っておくが、私は小波がその男と関係を持とうが、持たまいが、永心がその男の子であろうが、無かろうが、二人を捨てる気は無いからね。捨てるなら、この教団を捨てるよ。私にとって二人は、私の全てなんだよ。それが、わからんのかね」
道心が毅然と言った。
「あんた、何をあほな事を」
「お前は黙れ。先日、今度、私の逆鱗に触れれば、離婚すると言ったはずだ。忘れたのか。即刻、離婚だ。荷物を今すぐまとめて出て行け。後は弁護士と話を付けてやる」
道心の怒りが沸騰に達した。
「あんた、堪忍や。この女が私を唆したんや。悪いのはほのかや」
泰子が慌てて道心に土下座をした。