教組の花嫁
 
 「君は北河とか言うカメラマンを、知っているのかね」
 「良く知っていますわ」


 小波が道心の質問に頷いた。


 「では聞くが、10ヶ月ほど前にホテル泉の客室で会ったかね」
 「ええ、会いましたわ」


 小波が正直に答えた。


 「と言う事は、二人が言う事は、本当の事なのか」


 道心は、小波の言葉を聞いてかなり動揺した。二人の言う事を、小波が打ち消してくれるものと、道心は期待していたから。


 「・・・」


 「どうなんだね」
 「本当ですわ」


 道心の顔は、引きつっている。それを、道心は、必死で平静を保つように努めているようだ。
 道心は、大きく大きく深呼吸をした。






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