教組の花嫁
 
 「泰子をここから追放したいのだが。それも、早急にね。君からその旨を言って貰いたいのだ」


 少しでも早く事を進めたいのか、道心が用件を早口で言った。


 「追放する。それも、早急にですか」


 追放と聞いて、百合葉は心の底から喜びが込み上げて来るのを、ひしひしと感じていた。


 「そうだ。やってくれるか」
 「はい、喜んでお引き受け致します。でも、その前に、なぜ今、追放せねばならないのか、その理由をお聞かせ頂けませんか」


 百合葉は、その理由に一方ならぬ興味を持っていた。


 「理由か。いいだろう。小波と永心を、ここに連れ戻したいんだよ。その為には、環境を整えないとね」


 道心が率直に答えた。





 
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