教組の花嫁
 
 「畜生。畜生。畜生!」


 「馬鹿にしやがって。ぼけっ!」


 泰子が喚き捲くった。


 「道心のあほが。血迷いやがって。殺してやる」

 「殺してやる」


 泰子はそう言うと、家の中に走って行った。
 台所に着くと、泰子が出刃包丁を鷲掴みにした。


 「殺してやる」


 「道心め」


 「殺してやる」


 泰子が、出刃包丁を持って一目散に走り出した。
 百合葉は、出刃包丁を持って玄関に向って突進して来る泰子を見て、驚き仰け反った。



 泰子が百合葉を押しのけると、喚きながら裸足のままで走り出した。






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