教組の花嫁
 
 「道心、開けんかい」


 「何さらしとんねん」


 「殺してやる」


 ドアの向こうが騒がしい。
 道心はただならぬ気配を感じた。


 「いったい、何事だ」

 道心が身構えた。


 護身用の木刀が、部屋の隅に置いてある。
 道心はそれを摑むと、ゆっくり、ゆっくりと、ドアに近付いた。


 覗き穴から、道心が外を覗いた。
 泰子の顔が、大きくなったり、小さくなったりしながら、動いている。手には刃物らしき物を持っているようだ。


 道心が呼吸を整えた。
 ドアに手を掛ける。
 道心が、一気にドアを押して素早く廊下に出た。







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