教組の花嫁
 
 「会うの?」
 「それをいま、考えている所だ」

 北河が、憮然とした顔で呟いた。


 「ねえ、手を組まない」

 ほのかが色っぽい目をして言った。



 「・・・」


 「ねえ」
 「断る」


 北河が、毅然とほのかの提案を拒否した。


 「なぜ?」
 「噂が噂だからな」

 北河がはっきりと言った。


 「噂・・・」



 噂と聞い、ほのかの顔色が、さっと変わった。


 (酒が欲しい)


 苛立ち、感情が激してくると、ほのかの体が猛烈に酒を求めた。
 ほのかがウエイトレスを見て、左手を高く上げた。


 ウエイトレスは、気が付きこちらに向って来た。


 「噂って、アル中の・・・」
 「ああ、それに、しゅ・・・」


 酒乱で尻軽女と言い掛けて、北河はその言葉を飲み込んだ。





 
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