教組の花嫁

 「もしもし、嶋中ほのかです。教祖様ですか」


 ほのかが、祈るような気持ちで道心に電話を入れた。


 「ああ、私だ」
 

 道心が電話に出た。



 「教祖様、お助け下さい」


 ほのかが、縋り付くような声で道心に助けを求めた。


 「どうしたのだ」


 「マスコミに追っかけられて困っています。住居棟2階の客室に、匿ってもらえませんか」


 「それはいいが。君は今どこにいるのだね」


 「ホテル泉の505号室です」
 「ここへは来れるか」

 「無理です。大勢のマスコミが私を待ち受けています。何かいい方法はないですか、教祖様」

 「・・・」


 道心が思案しているのか、少しの時間、沈黙が。


 「ううん、そうだな。・・・そうだ。救急車でも呼ぶか」


 「えっ!救急車ですか」


 道心の想定外の発想に、小波が1オクターブ声を高めた。





 
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