教組の花嫁
千葉百合葉が部屋の前に到着した。
コンコン。
百合葉がドアをノックした。
「はーい」
白髪のかつらを被ったほのかが、ドアを開けた。
「へえ~、なかなかいいじゃない。背が少し高いのが難点だけど」
百合葉がほのかの顔を見ながら呟いた。
ほのかは思わず猫背になった。
「はいはい、猫背になって、背をうんと縮めまひょ」
ほのかは関西が出身地だ。
お婆さんの言い回しをするために、ほのかは関西弁を使おうと思っていた。
「その調子よ」
百合葉が、猫背になったほのかを見て合格点を出した。