教組の花嫁
 
 千葉百合葉が部屋の前に到着した。



 コンコン。


 百合葉がドアをノックした。


 「はーい」


 白髪のかつらを被ったほのかが、ドアを開けた。


 「へえ~、なかなかいいじゃない。背が少し高いのが難点だけど」


 百合葉がほのかの顔を見ながら呟いた。
 ほのかは思わず猫背になった。


 「はいはい、猫背になって、背をうんと縮めまひょ」


 ほのかは関西が出身地だ。

 お婆さんの言い回しをするために、ほのかは関西弁を使おうと思っていた。


 「その調子よ」


 百合葉が、猫背になったほのかを見て合格点を出した。






< 68 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop