教組の花嫁
 
 その日の夜。


 ほのかは、教祖室の応接セットのソファーに座っていた。


 「教祖様、本当にありがとうございました」


 ほのかが丁重に道心に礼を言った。

 「少しは落ち着いたかね」

 道心がほのかに尋ねた。


 「気持ちが随分と楽になりました。安心したのか、少しベッドに横になったら、私ったら、ほんの今まで眠ってしまった程ですわ」


 「それは、良かった」
 「しかし、君はなぜ失踪し、ここに現れたのかね」


 道心はほのかの気持ちが、よくわからなかった。




 「教祖様にお会いしたかったからですわ」




 ほのかが、道心の反応を窺いながら妖しい目をして言った。





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