教組の花嫁

 「馬鹿を言っちゃいかんよ」


 道心はほのかの真意を計りかねていた。


 「本当なんです、教祖様」


 ほのかが真顔で言った。
 道心は信じられないという顔をした。


 「君は何を言ってるか、わかっとるのかね」


 「はい、わかっています。でも、本当にお会いしたかったのです」


 「君は私に会う為に、失踪したと言うのかね」


 道心は呆れ果てていた。


 「はい、決まっていた映画のお仕事を辞退しても、教祖様のおそばに来たかったのです。それで・・・」


 ほのかが切ない女心を、道心に打ち明けた。



 「冗談はよしたまえ」



 道心はほのかの言う言葉が、信じられなかった。






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