教組の花嫁
 
 「冗談ではありません」

 ほのかが悲しそうな顔をした。


 「なぜだ」



 「優しい教祖様にお会いしたくて、お会いしたくてたまらなくなったのです」

 

 ほのかの顔は、愛を告白する少女の顔だった。
 恥じらいの中に、意志を貫く強さがあった。


 「馬鹿な事を言うもんじゃないよ」


 道心はほのかの愛を拒絶した。


 「私が教祖様を愛する事が、そんなに馬鹿な事でしょうか」

 「君はマスコミに追っ掛けられて動揺しているだけだ。早く部屋に戻りたまえ」




 「いいえ、戻りません。どうか私を教祖様の愛人にして下さい」




 ほのかが信じられない言葉を口にした。


 「何を言ってるんだね、君は」




 「私は女優の仕事を続けながら、教祖様の愛を頂くのが、私の夢なのです。それがはっきりとわかったのです。だから、失踪してここに来たのです」




 ほのかは真剣な眼差しで、道心に失踪の真意を打ち明けた。





 
 
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