“隣の不可思議くん”
彼を好きになってはいけないと・・・。彼に惹かれてはいけないのだと。私自身もわかっていた。
私もご先祖様と同じなのだ。名家と言われている西園寺も現在は維持がとても難しい。高校を卒業したら両親が決めた相手と結婚しなくてはならない。それは、”西園寺”を守るために、私は両親の道具でしかないのだ。
それに彼だって・・、以前話してくれた神谷くんのお家が仕える神大寺という家の娘さんと婚約が決まっている。
あまりにも、似すぎているのだ。ご先祖様と私たち2人は辿る結末が、誰にも変えることができない結末。ただ違うといえば時代というだけの話・・。
「あの、澄羅が直接話したいって言ってる・・いいかな?」
私が落ち着くのをじっと傍で待っていて申し訳なそうにそう聞いてきた。
「はい、大丈夫です。」