眠り姫の唇



…………‥



残業する人もまばらになり、瑠香はうーん…と背伸びをした。

ずっとパソコンとにらめっこで肩が凝る。


ちらっと前を見渡せば、自分と後3人程度、その中に前川の姿もある。


前川は一度集中すれば顔付きも変わり、仕事のペースもあがる。信じらんない量の仕事を上司から渡されても必ず期限以内に完璧にこなし、そしてそれを微塵も鼻にかけず、普段はあんな感じなのだ。


岩城の言葉を借りるとちゃらんぽらん。


鈍感だったり、変なところで鋭かったり、一番欲しいときに優しさをくれたり。

瑠香は口には出さないが、一番尊敬出来る、大好きな先輩だと思ってる。


やっている仕事の直接の上司ではない所が反対に良かったのかもしれない。


前川の仕事はこの部署でも特殊なのだ。




瑠香はなんとなくポケットから携帯を取り出し、確認する。



「(あ、2件。)」


メールが入っていた。


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