眠り姫の唇
どちらも岩城からで、時間で言うと、ちょうど岩城に招待状を持って行く前と、後、下に帰って来た時に送られてきている。
古い方から開けてみる。
『お前より俺の方が早かった事なんて一度も無いだろう。いつものカフェで待っておけ。』
…まぁ確かに。
岩城はいつも遅いのだ。
そしてこのメールが“返信を返せ”と言っていた奴か。気付かなかった。
二通目が、
『やっぱり表玄関で待ってろ。一人でうろうろするなよ。』
だった。
…表玄関で待ってろと言われたのは初めてだった。
でも良いのだろうか。
あそこは多少なりとも人の出入りがあるし(もちろん社員の。)管理人からはバッチリ見られてしまう。
噂になって困るのはどう考えても女子社員からこっそり人気のある岩城だろう。
それに立場もあるのはやっぱり岩城だ。
“…岩城係長!”
なんて名前かは忘れたが、夕方のチャラ男がそんなこと言ってた気がする。
…係長、知らなかったって言ったら、怒られるだろうか。