眠り姫の唇


「(ていうか、言っといてよね!カカリチョウ!)」


さすがに重役クラスは頭に入っているが、各階の係長全員はさすがに把握していなかった。


庶務の人達はそれぞれの階に出入りはしているが、その他は本当に部署同士の交流が少ない会社である。


会社全体の忘年会だとか、そんなぐらいだ。交流があると言えるのは。


本当に、


あんな事さえなければ、


岩城と関わる事も一生無かったであろう。



















「あれ?高江、あがり?」


「はい、なんとかまとまりました。プリントは明日します。お先です。」


前川に軽く挨拶し、オフィスを後にする。


…薄暗い廊下を一人で歩くと、夕方の事がフラッシュバックのように蘇ってしまう。


後から思い出せば出すほど、恐怖心が勝ってくる。


気持ち悪い。


岩城が来ていなかったら、本当に、どうなっていただろう。


考えただけで震えが走る。


< 122 / 380 >

この作品をシェア

pagetop