眠り姫の唇


前川律子。


前川先輩のフルネームだ。


「前川先輩のお知り合いの方ですか?」


「そうそう、そんな感じ。もしかして7階の子?律子まだいた?」


そう言って男性はビルの上を見つめる。


見上げた時の首のラインがやたらと綺麗だ。


良く見ると男性は、もの凄く格好良い人だった。


岩城よりは少し低いが、175はある身長に、整った鼻筋、甘いマスク。微笑んだところからフェロモンがだだもれしているような、大人の男性だった。


岩城がストイックな渋い魅力のある色気だとしたら、こちらの男性はその色気を隠そうともせずブワッと溢れさせてしまっているような、そんなイメージだ。


ホストの方…では無さそうだ。そういう媚びる感じはないし、そもそも服装が違いすぎる。
夜でもパリッとしたスーツが、品の良さをアピールしている。


じゃあなんなんだこの色気は。


どういう関係なんだ前川先輩。


「前川先輩も残業中です。多分もうすぐで終わ……」



「健人?!」





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