眠り姫の唇


後ろから前川の声が飛んできた。

聞いたことのない、焦ったような声。


「あ、前川先…」

「律子。」


「何しに来たのよ!」


「迎えに来た。帰ろう。」


「よくそんな事平気でいえるわね。」


瑠香を間に、勝手に昼ドラみたいな展開を見せた二人は更にヒートアップする。


「あの……」


「出て行って何日になると思ってんだ。」



「そんなの私の勝手でしょ?まだアパート解約してないし。」


「許してくれるなら謝るよ。悪かった。だから早く帰って来いよ。」


「そんな事言って健人は結局自分は曲げないんでしょ?好き勝手自分のしたいようにするだけしといて、私がひとりで勝手に怒ってるみたいな態度とるんだから。まず話になんないわよ。」


「それを許すのが妻だろう?」


「まだ結婚してないっつーの!」





「あの!!」




瑠香の叫び声でやっとこさ二人は自分達の間に挟まっている人物を見る。



「とりあえず人の上で喋るのヤメてもらえますか。それと、会社の前です。場所変えましょう。」


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