眠り姫の唇
瑠香は有無も言わさず二人の背中をずんずん押す。
この男性が乗ってきたであろう派手な車の近くに二人を押しやり、瑠香は腰に手を当て反り返る。
「ここで好きなだけ喧嘩してください。」
じろりと視線を送る瑠香に前川は我に返り、いつもの口調でえへへと笑った。
「ごっめん、そんな怒んないで高江…。」
「怒ってません。」
あははと男性が笑って前川の肩にさり気なく手を乗せる。
「ありがとう、こいつ一回キレたら手ぇ付けらんないんだよ。」
「触るなっての!」
ギリリと音を立てて前川は男の手の甲をつねる。
そんな事をしていると、派手な車の近くに、もう一台見慣れた車が止まった。
下りてきた人物が意外そうに声をかける。
「瑠香?」
「あ、」
すらりと背の高い岩城が自然と男性の隣に並んだ。
「お前らもこんな所で何してるんだ。」