眠り姫の唇
「俺が黙っとけって言ってたんだよ。お前が騒ぐと1日で会社に広がるからな。」
「ちょっと人を病原菌みたいにいわないでくれる?」
「で?岩城と高江ちゃんって、やっぱりそういう関係?」
久保井がニヤニヤしながら岩城をからかうみたいに見つめる。
「ああ。」
岩城は岩城で堂々と肯定するから、瑠香はただひたすら黙って3人の会話を聞いていた。
「ちくしょー!俺は嬉しいよ!俺は6年間サイボーグみたいに仕事しかしていないお前しか見てこなかったから、そんな大切な人が出来たなんて、…俺は嬉しい!」
そう叫んで久保井は岩城の肩を抱く。
「お前もう酔ってるのか?」
岩城は笑いながら久保井を小突く。
大切な人。
その言葉に瑠香は少し息苦しくなった。
「何飲む?」
そんな瑠香に優しく笑いかけながらバーテンダは首を傾げる。
「マイリトルキャットで。」
瑠香は困ったように微笑み、そう注文した。