眠り姫の唇


パタンと扉が閉まり、エレベーターの数字は徐々に増えていく。


…濃いルージュがやたらと似合う綺麗な人だった。


長い髪をきっちり詰めて、目元に色気のある黒子。


その人が押したかどうか分からないけれど、瑠香は何故か確信していた。


…なんで?


そんな嫌がらせを受けたのは、入社して以来初めてだった。




驚きと落ち込みを背負って銀色に光る扉を押す。



「あ!瑠香!」


人が朝から落ち込んでいるのに、リサはお構いなく耳元で叫んできた。


「なに?朝から。」


目を見開いたリサにぐいぐい腕を引っ張られながら瑠香はダルそうについて行く。


「なに?じゃないでしょ!あんた私に隠し事してるわよね!」

「…え。」


オフィスの端っこの方でリサが睨みをきかせる。


心当たりがありすぎて冷や汗を隠せない。


…どれ?どれがバレたの!?



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