眠り姫の唇


「あのね、桜子様の噂知ってる?

桜子様ってあんなに仕事バリバリ出来るのに、オフィスではおしとやかで女らしくて9階の花だって言われて来たの。

でもね、あるときすんごい可愛い子が入社して来て、しかも1年目でいきなり9階行きだから、結構大学も良いとこ出で、仕事も出来たと思う。


それで初めは周りの男性社員にちやほやされてたんだけどね、

気がついたらゲッソリになって辞めちゃったらしいよ。」



瑠香はサーッと青い顔をしてリサをちゃかした。

「わー…、やっぱり9階仕事キツいんだねー。給料も違うしさ。あはは…」


「バッカ!違うわよ!もっぱら桜子様にいじめられてたって噂だよ!更衣室でけちょんけちょんにされてるとこみた人もいるし!」


「…。」


瑠香は絶句して、リサをただみつめる。


「しかもね。」


ここからが本番だとでもいうように、リサは瑠香にずずいと詰め寄った。


「桜子様は、岩城さんに惚れてるって話。」


「もーやだ。そんなの全部つながっちゃうじゃん。」


瑠香は朝の桜子の怖い顔を思い出して天井を仰いだ。





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