眠り姫の唇


あれだけ愛の言葉を囁いていた彼は、5、6回体を重ねたぐらいに、


「瑠香ってさぁ、あんまり可愛げないよな。…もうちょっと男を立てるとか出来ないわけ?…俺達、ちょっと距離置かない?」


と、半笑いで言われた。


…別れまでペラペラだった。



二週間ぐらい後に、彼は別の女性と歩いていた。



好きって、なんだろう。



愛してるって、なんだろう。



確かに彼には好きだと言われて、付き合って、それで段階を踏んでそうなったのだけれども、何か違うんじゃないかと瑠香は思った。



…良く分からない。



涙すら出なかった。



彼の事が本気で好きだったら、何かが違っただろうか。



距離を置こうと言われた時に、泣いてすがったのだろうか。



彼が別の女性と歩いていた時、もっと悲しい気持ちになったのだろうか。



もっと彼を恨んだろうか。



その後にも、好きなんだと言われて2回彼氏という存在は出来たが、ふわふわよく分からないままお別れをする事が多かった。


二人目の人は一人目にはない優しさを感じたが、その人の形にハマる行いをしないととたんに不機嫌になり、身体を重ねないまま、君には愛を感じないと別れられ。


三人目の人は二人目にはない男らしさがあったが、平気で人を傷付けるような事を言う人で、最後はよく分からない理由で振られたと思ったら、浮気されてた事が後から分かった。


それでも心は怒るどころか底まで冷め切って、やたら冷静だった。



自分には感情がないのではないかと、その時はだいぶ悩んだ。


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