眠り姫の唇


そこまでモテはしないけれど、言い寄ってくる男が全て軽薄に写った。


軽薄な笑顔を貼り付けて、軽薄に愛を囁いて、軽薄に肩を抱く。


岩城は。


岩城とは、なんでこんなに一緒にいれたのであろうか。


こんなに一緒にいても疲れない男の人は初めてだ。


なんであの人には息苦しさを感じないのだろうか。



なんで、…あの人の涙はびっくりするぐらい暖かかったのだろうか。





岩城の言葉はずっしり重い。


ペラペラなそういう嘘も言わない。


全ての行動や言動に中身が詰まっている。


岩城という生真面目な男がぎっしり詰まっている。


だから、


いつの間にか自分の中に降り積もったそういう小さなもののせいで、


気がついたら自分の中が岩城でいっぱいになっている。



…これって、好きって事なのだろうか。



いや。



まだ決定したくない。


早とちりしたくない。





また、間違えたくない。








こういうのって、やっぱり自分で判断しないといけないのだろうか。


いつか分かるだろうか。


雷に撃たれるように、明白に分かる日が来るのだろうか。











「…瑠香?」







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