眠り姫の唇


リップサービスにもほどがある。


岩城らしくないセリフが頭の中で響いて、また心臓が早くなる。


鏡に映った胸の無数の赤い痣。


こんなに付けられてるとは思わなくて、瑠香は家のお風呂で赤面していた。



岩城の指、熱を帯びた冷たい瞳、身体に響く声、熱い息、力強い腕、しっとりと汗をかいた肌。


それに簡単に脳内を占拠されて、瑠香はうろたえる。



…あの男がこの場にいないのにこのざまだ。



ホント、やられてる。



ロスに居るのに攻撃を仕掛けられた気分で、瑠香は仕事に集中しようとぺちぺち自分の頬を叩いた。



……‥






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