眠り姫の唇
サァーーという音にただ耳を澄ませて無心になる。
頭から少し冷ためのお湯を浴び、瑠香は冷静になろうと自分に言い聞かせた。
…正直、信じられないというのが本心である。
笑顔で出かけた岩城と、電話の内容がどうも一致しない。
それでも、あの艶やかな女の声が心を曇らせる。
…なんだったんだ。
どうにも心の整理がつかないまま、瑠香はとぼとぼと風呂場を出た。
机の上に置いてあった携帯に目をやる。
…またあんなのがかかってきたらどうしよう。
瑠香は怒りよりも、恐怖に飲み込まれそうになっていた。
bububububububu…
「!」
そんなことを考えている時に限って、またも携帯が着信を教える。
瑠香は恐る恐る携帯を手にとり、名前を確認した。
“生駒 唯”