眠り姫の唇


「あ、もしもし?瑠香?」


「唯?いつ日本に帰ってきたの?」


生駒唯(いこま ゆい)。
女一人で四六時中海外を飛び回っているフリーのカメラマン。
瑠香の大学からの友人である。


唯から連絡がくるなんて珍しい。


かけても繋がらないか、謎の外国語ガイドラインが流れるだけである。


「昨日!今、近くに来てるんだけど出れる?」









唯に指定された居酒屋の隅の席で待つ。


…唯とは2年ぶりか。


サバサバして自由奔放な彼女は本当に海外に向いていると思う。


唯には助かった。


気合いを入れて化粧をすると気分がパリッとする。


あのまま考え続けたら、絶対よくない方向に思考が向いていたはずだ。



ガラガラと店の扉が開く。


「ごめん!ちょっと遅れた!」


元気よく店内に入ってきた久しぶりの笑顔に、瑠香も笑顔で答える。


「わ!瑠香変わったね!キャリアウーマンみたい!」


そういう唯は奇抜なファッションに更に日に焼けてますます日本人離れしていた。


でも喋り方は昔のまま。



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