眠り姫の唇


「“あの時”と同じ顔してる。」


「?」


唯がズリをヒョイッと口に放り込みながら、ズバズバと思い出話を投下してきた。


「ほら、あんたがやたらとモテてたあの時期。」


「…そんな時なんかあったっけ?」


「あー…ほら、大学入りたてで、瑠香初め緊張してたじゃん。んで周りとあんまり話さないから美人で大人でクールでミステリアスな雰囲気ばっかり出してたあの時期。」


どんな時期だと瑠香は内心突っ込んだ。


「なにそれ。私そんな風に見えてたの?」


「そーだよ!やたらモテてたよ!まぁ喋ったらこんなんだけど。」


ケタケタ笑う唯をじろりと睨んで瑠香がため息をつく。


「んでさ、まともな男子達が瑠香に話しかけたいのに、みんな勇気がなくてさ。瑠香は瑠香でツンッとした雰囲気バシバシで。そうこうしてる内に手慣れたダメ男が瑠香を口説いたらあっさり落ちるからみんな仰天してたね。」


「…。人の傷遠慮なく掘り返さないでよ。」


あー、やっぱり周りから見てもダメ男はダメ男なんだと瑠香はぼんやり思った。


「…実際はウブもいいとこだったのよ。ほんと痛い目みたけど。」




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