眠り姫の唇
高校までそんなこと縁がなかった。
「あれはウブには見えなかったねー。社会人のおっさんと不倫してそうな色気と憂いを感じたよ。遠くから。」
「なんか誉められてるのかけなされてるのか分かんないんだけど。」
唯が油でギトギトの天井を眺める。
遠くから。という言葉に瑠香も、あっそうだったと思い出した。
唯と仲良くなるのは2回生にあがるちょっと前だったのだ。
それまでは顔は知っている程度だった。
「…化粧よ化粧。大学入ってから覚えたし。」
瑠香はやたらと化粧で大人っぽくなる顔付きだった。
少しラインを引くだけで老ける老ける。
今はなんとか年齢にちょうどいい化粧にしているが、当時は雑誌の見よう見まねでやっていたような気がする。
「そんでさ、かと思ったらすぐ別れるし、もう自信のある馬鹿男達が競って瑠香に告白しに行くのを私はボケーッとみてたわけ。」
「あぁ、馬鹿男ね。私まともな縁なかったもんなぁ。」
「まぁ瑠香も悪いけどね!来るもの拒まずで一番に告白してきた奴となんも考えずに付き合ったでしょ。自業自得。」
けちょんけちょんに言われながら瑠香は苦笑いした。
そういえば全員自信家だった気がする。