眠り姫の唇
瑠香の手を持つ力にギュッと力が入り、岩城がブスッと不機嫌な顔になった。
「俺の事はもういい。瑠香はなにしてたんだ?」
どきりとした。
まさか桜子さんから挑戦状のような電話がかかってきたなんていえない。
「私ですか?有意義に岩城さんがいない時間を過ごしてましたヨ。」
「ほお?」
ピクリと岩城の頬が痙攣する。
「部屋片付けて、料理して食べて長風呂して。あ、久しぶりに大学時代の友達にも会いました。」
「友達?」
「カメラマンで、海外飛び回ってるんですよー。格好いいですよね。」
そうだ、唯の写真集を今度見て貰おう、などとのん気に瑠香は思っていたが、岩城の部屋の扉をくぐった瞬間、さっきの自分の発言を後悔する事になる。