眠り姫の唇
洗濯物だけ回しといてやろう。
なんとなくそう思って、ジッパーを開ける。
几帳面なのか、適当なのか分からない岩城は、まだ着ていない服をピシッと畳み、着終わって後は自宅で洗濯するだけの服はぐちゃっと適当に入れていた。
荷造りも自分でしていたのだからこのピシッとした服も自分でアイロンを当てたのであろう。
アイロンと岩城。びっくりするぐらい合わない。
しかもいつアイロンなんて使っていたのであろうか。
一応収納スペースに黒いアイロンとアイロン台は発見していたのだが、(あるだけでもびっくりした。)…自分がお風呂に入っている間にでもしているのだろうか。
分かりやすくぐちゃっとなった洋服をまとめる。
「……ん?」
ふと目をやると、岩城のキャリーバックの側面に無駄にたくさんついているチャックの一つが完全に閉まりきっていないのを発見した。
こんな小さな収納、使う訳ないと思っていたので少しびっくりする。
中途半端に開いているそれが気になって、瑠香はチャックを閉めようと試みてみた。