眠り姫の唇

完全にパニックになった瑠香はとりあえずとぼとぼとソレを汚いものみたいに指でつまんでキッチンまで歩いていく。


…意味が分からない。


岩城が嘘をついているのか、桜子の嫌がらせか。


岩城が嘘をなんて、そんな事は考えたくないし、もし桜子の嫌がらせなら、ちょっと度を過ぎている。


なんだコレは。


目の前でグツグツいっている鍋の火をとりあえず止め、


瑠香はその場にヘタンと座り込んだ。


駄目だ。良く考えないと。


頭を使わないと。



冷静にならないとおかしくなる。




…このルージュは岩城のYシャツについていたものと同じ物。やはりどう考えても桜子の口紅だ。


どんな状況であれ、岩城がコレをキャリーバックに入れるか?多分それは有り得ない。ゴミ箱に捨てれば良い話だし。


キャリーバックに仕込んだのも桜子に間違いないだろう。

多分わざと。


問題が、この中身が使用されたかどうかだ。


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