眠り姫の唇
………‥
「…うん、…うん、とりあえず落ち着いて。」
普段クールに見える友人の情けない涙声に、リサは多少うろたえた。
髪を乾かす手も止まる。
1から全部話を聞いていると、思った以上にハードな内容に度肝を抜かれた。
「瑠香、とりあえずソレ、捨てちゃ駄目だよ。気持ち悪いけど袋かなんかにいれて保管しといて。」
取り乱した友人に的確な指示を与える。
「それと、岩城さんに聞かない方がいい。シロでもクロでも、ろくな答えなんか帰ってこないよ。」
シロなら知らないの一点張り。
クロでも知らないの一点張り。
男はなんてそんな生き物だ。
「それと、明日それ持ってきて。
あと普段岩城さんが使ってる方も。
…はぁ?何恥ずかしがってんの。
誰も使用済み持って来いなんて言ってないでしょ!
こっそり箱から一個拝借してきなさい!
それとね、いったんこの事は忘れて、リラックスして岩城さんと接してきな?
浮気なんて雰囲気みてたら分かるから。
女の勘、ちょっと信じてみなさいよ。」
……‥
リサと話した後は、不思議となんだかスッキリしていた。
リサは岩城を信じろとも疑えとも言わなかった。
自分の勘を信じろと言ってくれた。
伊達にイイ女をしていない。
実にリサらしい考え方に、瑠香は少しだけ落ち着きを取り戻していた。