眠り姫の唇
玄関で仁王立ちのまま静かに睨みをきかせる長身男に瑠香は一歩たじろいだ。
「あれだけ迎えに行くと言っただろう。なんで連絡してこなかった。」
「いや…悪いなーと思いまして…。」
どこぞの父親かという発言に瑠香はたじたじだ。
同期と焼き肉を食べに行くと言っただけでこれなんだから。
いつからこんなに過保護になったんだこの人は。
渋い顔をした男をそーっと見上げる。
…これであんな場所に岩城が迎えに来てみろ。
キャーキャーハシャぐリサと、俺だけ不幸だ!彼女欲しい!と叫ぶ三國が安易に想像出来た。
こっそり自分のアパートに帰ればいいのに。
一番納得が行かないのは、懲りずにこんな所に帰ってきてしまう自分だった。
いつのまに、こんなに飼い慣らされてしまったんだろう。