眠り姫の唇
そそくさと玄関を上がり、バックを部屋の隅に置く。
「岩城さん晩ご飯何食べたんですか?」
お風呂に入る準備をしながら、背後に立つ岩城に話しかける。
「適当に食べた。…お前焼き肉くさい。」
「はいはい!すぐお風呂入って来ますから!」
口うるさい姑に辟易しながら瑠香は服一式を持ってバスルームに入ろうと岩城の横を通り過ぎようとした。
「おい。」
トン、と岩城は壁に手を付いて、瑠香を閉じ込める。
突然距離が近くなった岩城の顔に、瑠香は思わず服で顔を隠した。
「な、な、なんですか。」
岩城の色気ムンムンな鎖骨が目の前で瑠香を誘っている。
「あんまり寄ると、臭い移りますよ…。」
さすがににんにく臭いのは恥ずかしい。
すぐさまお風呂に入って歯を磨いて、今日は岩城とは離れて寝たいと思っていたのだが。
「…誰と食べてたんだ。」
「リサと三國です。二人とも同じ階の同期ですよ。今日は三國のおごりです。」
「三國って、男か。」
一気に黒いオーラに囲まれて瑠香は焦った。