眠り姫の唇


そそくさと玄関を上がり、バックを部屋の隅に置く。


「岩城さん晩ご飯何食べたんですか?」


お風呂に入る準備をしながら、背後に立つ岩城に話しかける。


「適当に食べた。…お前焼き肉くさい。」


「はいはい!すぐお風呂入って来ますから!」


口うるさい姑に辟易しながら瑠香は服一式を持ってバスルームに入ろうと岩城の横を通り過ぎようとした。



「おい。」


トン、と岩城は壁に手を付いて、瑠香を閉じ込める。


突然距離が近くなった岩城の顔に、瑠香は思わず服で顔を隠した。


「な、な、なんですか。」


岩城の色気ムンムンな鎖骨が目の前で瑠香を誘っている。


「あんまり寄ると、臭い移りますよ…。」

さすがににんにく臭いのは恥ずかしい。

すぐさまお風呂に入って歯を磨いて、今日は岩城とは離れて寝たいと思っていたのだが。



「…誰と食べてたんだ。」


「リサと三國です。二人とも同じ階の同期ですよ。今日は三國のおごりです。」


「三國って、男か。」


一気に黒いオーラに囲まれて瑠香は焦った。



< 274 / 380 >

この作品をシェア

pagetop