眠り姫の唇
「んー。まだ後輩に仕事を押し付ける悪い癖が少し残ってるが、まぁまぁ仕事は出来るようになってきたかな。」
「……。」
ペラペラ喋る岩城の口からは、何故か仕事での桜子しか出て来ない。
「あの、桜子さんの内面というか、プライベートの事で、なにか知ってる事ないんですか?」
「…なんでそんなこと知りたいんだ?」
ワケが分からないとでも言いたげに、岩城が怪訝な顔をする。
「プライベート…んー…。分からん。サクラとは個人的な付き合いはないからな。」
本当に分からなそうにあっけらかんと言うもんだから、瑠香は目を見開いた。
「え、でも一緒に海外に行ったり、9階でも飲み会とかあるでしょう?」
知らないわけないのではないだろうか。
でも、どうみても嘘を言っているようには見えない。
瑠香は真意を確かめるように岩城の瞳を真っ直ぐ見つめた。