眠り姫の唇


「絶世の美女が、他の奴に心変わりして、あっけなくサヨナラ…」


ブルブル震えながらそう呟く三國にリサも、はぁとため息をついた。


「いわんこっちゃないじゃないの。」




瑠香とリサはそろそろと自分の仕事に戻り、パソコンに目を向けた。




………‥




帰り道、いつものように岩城に拾って貰う。



思えばその時から少し様子がおかしかった。





車の助手席に乗り込み、岩城を見上げる。


「すみません、遅くなりました。いつもありがとうございます。」


「……。」


何かを考えているような難しい顔をして、岩城は無言で車を発進させた。



「…。」


「…。」


瑠香はやっとその不穏な空気を感じ取り、そろりと隣の男を盗み見する。


岩城はこちらをチラッとも見ずに、眉間にシワを刻んでいた。




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