眠り姫の唇


「…後ろ向いて下さい。」


「別に問題ないだろ。」


向き合う形で岩城の髪をそっと触る。


「…。」


問題はないけれど、やっぱり変な感じ。


瑠香はそのままワシャワシャと岩城の見た目より柔らかい髪を洗う。



「(あ、つむじ左巻き…)」


そんな小さな発見に、瑠香はクスクス笑う。



「…なんだ。」


「いえ、なんでもありません。」


「…。」



首部を垂れて、大人しくしている目の前の男に気を良くして、瑠香は岩城の肩をツンツンとつついた。


「…っ…、」


「こんな所にほくろあるってしってました?」


「知らん。」


「あ、ここにも。」


首の後ろの方もツンツンとつつく。


「……っ」


クスクス笑いながら、瑠香は岩城の泡をシャワーで落とす。


おとなしい犬みたいに、つつかれてもじっとされるがままになっている岩城に特に疑問も持たず、瑠香は機嫌良く岩城に笑顔を向けた。


「はい。出来ましたよ。」


「………。」





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