眠り姫の唇
ムスッとしたままの岩城に瑠香は首を捻った。
「気持ち良くなかったですか?」
てっきり、人に洗って貰う事は万人が気持ちいいと感じると思っていたので、瑠香は少し焦った。
岩城はそれに答えず、瑠香をいきなりギュッと引き寄せた。
全身に感じる肌の感触に、瑠香はドキリとする。
「な、なんですか。気持ち良くなかったなら、そう言ってくれれば良いのに。」
声が裏返りながらも平常心でいようと瑠香は努める。
しかし、そんな瑠香にはお構いなしに岩城は湯船に瑠香を強引に運んだ。
「ちょっ、なんなんですか。」
ザハッと勢い良く湯が跳ね、湯気が立ち込める。
バスタオルを巻いたまま、湯船って浸かって良かったっけ。
変な事を気にしながら、瑠香は岩城の奇妙な動向のわけを探ろうと、その瞳を覗き込んだ。
バチっと怒っているような目線とぶつかる。
な、なんで急に機嫌が悪くなっているんだこの人は。
やっぱりほくろとかつつかれたのが気に触ったのだろうか。
なんて心のせまい男だ。
ふんっとして瑠香は悪態をつく。