眠り姫の唇
「一緒にお風呂に浸かる予定なんて、私にはなかったんですけど?」
ふわっと水圧で浮き上がるバスタオルを両手で抑え、瑠香は警戒の目線を岩城に送る。
「お前な…。」
そんな瑠香をやんわりと引き寄せて、岩城は大きな溜め息をついた。
「こっちはお前が嫌だって言うからそれなりに我慢してるのに、いちいち煽りやがって…もう知らんぞ。」
岩城はそう言って、瑠香の首に諦めたように噛み付いた。
「…っ!」
突然のスイッチに瑠香はびっくりする。
そんな雰囲気、なかったではないか。
さっきまで家族でお風呂を楽しんでいるような感覚だったのに、なんでこんな急に。
水の中で怪しく動き回る器用な指先に、瑠香はあっと言う間に体温を上げられていく。
「…透けてんだよ、タオル。見て見ぬふりでもしてやろうと思ってたのに、お前が色々触るから、…やっぱりお前が悪い。」