眠り姫の唇
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「お?なんだ、もう帰るのか?」
「あぁ、世話になったな。」
「……。」
ニコニコ笑顔で近付いてくる久保井に、岩城は爽やかにお礼を言う。
その後ろで、瑠香はじとっと久保井に黒い視線を送っていた。
「高江ちゃんも俺のジム気に入った?良かったらまた来てね。」
久保井は少しかがんで女の子用のニッコリとした笑顔を瑠香に投げかける。
「…私は久保井さんと前川先輩が喧嘩したら、ぜっっったい前川先輩の味方ですから。」
「へ?」
笑顔のまま固まる久保井をそのまま残し、瑠香は不機嫌そうにずんずん廊下を進んだ。
「…どういう事だと思う?」
消えていく瑠香を見つめ、久保井が後ろの岩城に話しかける。
「前川の大変さが少し分かったんじゃないか?」
「…お前5番使っただろ。」
「使うなとは言われてないからな。」
「高江ちゃんも大変だな。こんな男に捕まって。」
「お前にだけは言われたくない。」