眠り姫の唇

いよいよ本題だというように、桜子は真剣な顔をした。


「だからね、高江さんの未来の為にも、早く彼と縁を切って欲しいの。」


「…佐倉さんは、縁を切る気はないんですか?」


「…だから、さっきも話したけど、私は別れないわ。私達の関係をあなたのと一緒にしないで欲しいの。」

なかなか折れない瑠香に徐々に苛立ちを見せ始めた桜子は少し声を荒げた。


「ねぇ、分かって?私は入社した時から彼のそばにいるのよ?数ヶ月そこそこしか関わりのないあなたに、彼の何が分かるの?」

「それってただ部署が一緒だったって話じゃないですか。」


その言葉にカチンときたのか、桜子のその綺麗な顔の裏から徐々に般若のようなオーラが透けて出てくる。


それでも瑠香は引かない。


「佐倉さんから見て、岩城さんってどんな人ですか?」


言い返してやりたい。


あなたの方こそ、岩城の何が分かってるというのか。



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