眠り姫の唇
瑠香は真っ直ぐ桜子を見つめ、答えた。
「あなたの話、信じません。」
その揺らぎ無い声に桜子は目を見開いて驚愕した。
それでも瑠香は目をそらさない。
怒りも、強がりでもない、淡々とした瞳で、ただ真っ直ぐに見つめた。
「…ちょっと、本妻の私がこれだけ譲歩してあげてるのに…。賢こそうな子だと思ってたけど、とんだ馬鹿女だったのね。」
「その“本妻”っていうのも私は嘘だと思ってます。岩城さんは、今のところ私だけだと思います。」
「はっ、なんて自意識過剰なのかしら。すごい自信ね。」
呆れたように桜子は天を仰ぎ、瑠香を睨みつけた。
初めのような…にこやかな女性は、そこにはいなかった。
「いいわ、分かった。証拠見せて上げる。岩城さんのおうちにこっそり行って、岩城さんのキャリーバックの外のチャック、漁ってみて?面白いものが出てくるわよ?」