眠り姫の唇
「…本当に何……いったら……」
「…になるだろ…久保……」
微妙に距離が遠い為、会話がギリギリ聞き取りにくい。
少し小声で喋られると、もう何を言い合っているのか分からなかった。
…いったい、何を話しているのだろう。
と、いうか、こんな盗み聞きしている自分を客観的に想像して少しびっくりしていた。
カッコ悪いな私…。
瑠香は困ったような顔をして、自分自身にため息をついた。
止めよう。
さっきもチラッと久保井の名前らしい単語が出て来たし、きっと瑠香の入れない、三人の話なのだろう。
好意による好奇心とは怖いものだ。
普段の自分ならこんなことまずしないのに。
相手が岩城というだけで…。
いつからだろう。
自分が根本から変えられているような気がする。
本当に恐ろしい男だ。
瑠香は重い腰をあげ、その場を立ち去ろうとした。