眠り姫の唇
◆
“下の駐車場で待ってる。”
そう言う岩城を残し、瑠香は二階の自分の部屋に向かう。
適当なカバンに服やらローションやらを詰め込み、そういえばどこに行くんだろうかとふと考えた。
岩城の発言からはそういった情報が一切無い。
…後で聞いてみよう。
いそいそと準備をする自分が鏡に映る。
ちらっと覗いて瑠香は少しびっくりした。
「…何まんざらじゃなさそうな顔してるのよ。」
自分一人だから独り言も気にならない。
鏡に改めて向き直し、瑠香は正座をする。
「…深入りしちゃだめよ。」
戻ってこられないような気がするから。
自分の目を見て、瑠香はうんと頷いた。
「10分ギリギリだ。」
車に乗り込むと岩城にいきなりそう言われて瑠香はカチンとくる。
「私は岩城さんを51分も待ったんですけど。それに女には色々あるんですー。」