眠り姫の唇





“下の駐車場で待ってる。”

そう言う岩城を残し、瑠香は二階の自分の部屋に向かう。


適当なカバンに服やらローションやらを詰め込み、そういえばどこに行くんだろうかとふと考えた。


岩城の発言からはそういった情報が一切無い。


…後で聞いてみよう。


いそいそと準備をする自分が鏡に映る。


ちらっと覗いて瑠香は少しびっくりした。


「…何まんざらじゃなさそうな顔してるのよ。」


自分一人だから独り言も気にならない。


鏡に改めて向き直し、瑠香は正座をする。


「…深入りしちゃだめよ。」


戻ってこられないような気がするから。


自分の目を見て、瑠香はうんと頷いた。










「10分ギリギリだ。」


車に乗り込むと岩城にいきなりそう言われて瑠香はカチンとくる。


「私は岩城さんを51分も待ったんですけど。それに女には色々あるんですー。」



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