眠り姫の唇


「色々ねぇ。」


そういいながら岩城はサイドブレーキを落とし、車を進める。

…男の人が運転してるのってなんでこんなにカッコ良く見えるんだろう。


気がつけば。

車を操っている岩城の大きな手ばかり見てしまう。


あの手にいつも押さえ込まれて、息が出来ないほどのキスをされるのだ。


「…窓開けていいですか?」


「ああ、好きにしろ。」


瑠香は何を思い出していたのか岩城に悟られないよう、窓から少し顔を出し、火照りを誤魔化していた。
















「そう言えば、どこ行くんですか?」


お風呂を借りて、すっぴんの顔をバスタオルでさり気なく隠しながら岩城に訪ねる。



「……。」



バスタオルが鼻をかすめ、“あ、岩城さんの匂いがする”となんとなく思いながら無言の男に瑠香は首を傾げた。


「あの、場所によって今から化粧するかしないかが決まるんですが。」


岩城は怪訝な顔をする。


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