眠り姫の唇
「…じゃあなんで今顔を隠している。」
「え、バレました?」
「そんなバスタオルオバケみたいになってたら分かる。」
さり気なく隠しているつもりだったが、バスタオルをほっかむりしてたらバレてしまったらしい。
「気になる。見せろ。」
「やですよ!なにすんですか!」
無理やりバスタオルを取り上げようとする岩城にバタバタと瑠香は抵抗する。
気がついたらベッドまで追い込まれ、ドサッと倒された。
その表紙にバスタオルがはだける。
瑠香を上から押さえつけてのぞき込むように岩城はじろじろ膨れた彼女を観察した。
「化粧落としたら、童顔だな。」
なんだそれ。
無理やり見といてその感想はないんじゃないんだろうか。
そこはお世辞でも“化粧してなくても可愛い”とか“美人”とか適当に言って欲しいものだ。
しかし“可愛い”という単語があまりにも岩城に合っていないので、まぁそれも仕方ないと瑠香は思う。
「とりあえずよけて下さい。そろそろ腕が痛いです。」
頭の上の方で押さえつけられている両腕に岩城の太い指が少し食い込んで痛い。