眠り姫の唇


「……。」


「?」


無言の岩城を不審に思い、そろりと顔を見上げる。


部屋のライトに逆反射して、表情がよく見えない。


「まあ、この眺めは悪くないな。」


「は?」


岩城はそう言うと、その体勢のまま瑠香にキスをする。


「っ」



その初めから激しい行為を、瑠香は否応なしに受け入れた。


拒否も出来たはずなのに、と瑠香は息を乱しながら思う。



どこかそれを待ち望んでいた自分に少し恥ずかしくなり、抵抗のセリフが出てくる。


「や…めて…」


「好きな癖に。」


なんでも分かっているような口振りで、岩城はふっと笑い、瑠香の耳元で余裕の言葉を囁く。


ぐっと力を入れて振りほどこうとしていた腕も、だんだん甘く痺れて力が入らなくなってきた。

それを岩城は見逃さず、瑠香の両腕を一本にまとめて、頭の真上で一つにする。


そして空いた方の手を器用に使い、瑠香の胸元のボタンを一つ外した。

それがこれからどんな行為に発展するか安易に想像出来て、瑠香は必死になる。


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