眠り姫の唇


「“お願い”したら、ゆるしてやってもいい。」


は?


岩城はニヤリと意地悪そうな顔をしてまた首に唇を落とす。

お願いってなに?


瑠香はバタバタと抵抗しながら誰がそんな事するかと岩城を睨みつけた。

しかも許すってなんなのだ。まず自分はなにもしていない。


全部この男が悪いのに!


「…っ!」


「言わないのか?じゃないとどんどん下に降りていくぞ?」


カウントダウンでもするように、ゆっくり唇を耳の後ろから首の付け根に滑らす。

また身体を跳ね上がるが、瑠香は唇をギュッと結んでなかなか降参しなかった。

岩城は瑠香の口に指を入れ、瑠香が唇を噛まないようにする。


「…強情な女だな。」


岩城はダメな子供を叱るようにため息をついた。


岩城の指のせいで口が閉じられなくなり我慢していたのに自分の声が更に止まらなくなる。

岩城はそのまま、瑠香の瞳を優しく見つめた。


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