眠り姫の唇

唇を少し離して、岩城が口を開く。


「すまん…。」


眉を少し下げて、岩城はこぼすように謝罪した。



「…っ、別に良いです。岩城さんはもとからよく分からない人ですから。」


涙で鼻をすんすん言わしながら、瑠香はそっぽを向いて膨れたように喋る。



「俺はただたんに、なんとなくお前と一緒にいたかっただけだ。
だから、お前を前川の替わりとして見たことは一度もない。


顔違うしな。」


「一言余計です。」


あの天然美人と比べないで欲しい。


「それで、早く帰って欲しそうにするお前にちょっと腹が立った。…大人気なかったな、すまん。」


「…いえ、」


なんだか思いのほか誠実に説明されてしまったので、調子が狂ってしまう。


「…分かりましたから、そろそろそこどけてください。」


しかし恥ずかしい体勢には変わりない。今、瑠香はそんじょそこらではお目にかかれないイイ男にガッツリ押し倒されている。




「…それはまた後だ。」



「なんで!」



瑠香の叫び声は綺麗にスルーして、

岩城は瑠香の頬を涙と一緒にペロリと舐める。

それはそれは美味しそうに。




「…泣き顔も意外とクるな。」



「!」









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