あやつられるレディ
彼のシフトレバーに置いた長い指はシャープでやや骨ばっていて、ハンドルを握る日焼けした腕には、筋肉質な筋が時折浮かび、男らしさを強調している。
まるで愛しいものを抱くように、時には力強く、時には優しく、愛車を操る。

しばらく市街地を走った後、車は高速道路に進入した。

加速車線で彼は、左手でシフトレバー、右手でハンドルを捌き、左足はクラッチ、右足はアクセルと素早く、スマートな動きでシフトアップを繰り返し、思いっきりアクセルを踏み込み本線に合流。

彼の運転に応えるかのように、車は「ヴォーーン」と小気味良いうなり声を上げ加速していく。まるで彼が車を手懐けて、啼かせているかのように。

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